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概   要

研 究 計 画 拠点メンバー 研 究 集 会 活 動 報 告 ア ク セ ス

 

研究拠点形成
 
研究の背景
 
期待される成果

このプロジェクトは、考古学・歴史学・言語学・地球科学・人類学・地域研究といった多様なディシプリンにおいて西アジア世界を研究する学内外の研究者を連携させ、西アジア文明の古層と本質を学際的手法で掘り起こすための国際的研究拠点を確立させることを目的とします。

筑波大学人文社会国際比較研究機構(ICR)に設置されている「西アジア文明研究センター」を中心として、西アジア文明の学際的研究に寄与し得る人材や若手研究者を学内外から集めるとともに、西アジア地域での複数のフィールド・プロジェクトや共同研究計画を進行させながら海外研究拠点との連携を強化していくことで、国際的な西アジア文明研究のハブとして機能する研究拠点を筑波大学に形成することを目指すものです。

そのためには、農耕・牧畜・冶金・書字法といった革新的技術の出現、都市や国家といった社会システムの誕生、さらには多神教および一神教の思想の発展と変遷など、西アジアで興った人類社会の基層文化の形成過程に目を向け、その基層文化の諸相を解明する研究基盤を形成することが必要です。西アジア文明研究センターはこうした関連の諸研究の支援、研究ネットワークの構築、若手研究者の育成、研究成果の社会還元に取り組んでいます。また、これまでに筑波大学が実施してきたトルコ、シリア、イラン、イラクなど西アジア各国およびその周辺地域での調査実績を生かしつつ、開発に伴う緊急発掘調査や遺物保存などの国際協力事業をも視野に入れ、新しい調査地域や研究分野を開発することも「西アジア文明研究センター」の研究拠点形成事業の主要な課題です。  

 

西アジア研究の中でも、イスラーム研究や現代中東研究を専門的におこなう研究機関は日本にいくつか存在しますが、イスラーム以前の西アジア地域の自然環境、社会、文化を専門的に研究し、その統合を趣意とする研究機関は国内にはありません。西アジアの古代史や考古学を専門的に研究する機関はいくつかあるものの、地質学や古環境学を含めた西アジア文明の総合的研究は不在です。翻って欧米を見渡すと、西アジア地域の遺跡調査や古代史研究などに長い歴史を持ち、多くの専門研究者を育て、人類の基層文化ともいえる古代西アジアの研究に成果を上げてきた研究機関は少なくありません。

現在、筑波大学には、イスラーム期以前の西アジア地域を主な研究対象とする、考古学、歴史学、文化財科学、言語学などの研究者が多数在籍しています。また、地質学や植物生態学などの環境科学分野、地域研究分野にも、西アジア地域で調査経験のある研究者が複数在籍しています。過去には平成22年度筑波大学プレ戦略イニシアティブによる助成、2012年からの5年間には、文部科学省の科学研究費「新学術領域研究」の助成を受け、これらの研究者が「西アジア文明研究センター」を拠点として活動してきました。これまでに、多数の海外調査、研究会、シンポジウム等を実施し、多くの成果をあげています。現在、これらの研究成果および研究者のネットワークを継承し、海外・学外の研究拠点とのさらなる連携や研究交流を発展させることで、筑波大学における西アジア文明研究の拠点形成の歩みをさらに確実にすることが望まれます。

 

西アジア地域は、現生人類の出アフリカと拡散、農耕の開始、都市社会の形成、書字法の発明、領域国家の発達、一神教の成立など、人類史的なスケールにおいて、文明社会の大転換点の舞台であり続けました。しかしながら、そのような西アジアの歴史が、広く現代社会へとつながる基層文化を生み出したという事実は、世の中で正しく認識されているとはいえません。日々のメディアやジャーナリズムによって強調されるのはむしろ、現代の西アジア地域における紛争や、西洋の視点から見たイスラーム社会の特異性ばかりであるといえます。

私たちは、西アジア地域が世界に先駆けて経験した文明史上のイベントを、学際的かつ多角的に分析することで、古代西アジア文明を根源的に理解し、人類史上におけるその役割をあきらかにすることを目指しています。それによって、その安定が世界規模の課題となっている現代西アジア社会の本質を文明史のなかに位置づけて正しく理解することが可能となり、その結果として、現代の西アジア社会およびイスラーム社会に対する世の中の偏見を廃し、西アジアと西洋社会を単純に対立させた文明の衝突論のような言説が安易に受容される風潮を正すことができると考えます。

筑波大学「西アジア文明研究センター」を拠点としておこなう種々の研究成果を統合し、その成果を継続的に社会に公表することを通して、新たな西アジア文明像を提案し、現在世の中に流布している浅薄な西アジア世界の理解を翻すことができると考えています。