打製石器の約6割がフリント製で、残りは黒曜石製です。最大の特徴はフリント製石器と黒曜石製石器が、石材獲得、製作、使用、廃棄を通してまったく異なる利用のされ方をしている点にあります。
黒曜石の産地同定分析結果からは、ほとんどの黒曜石がネムルート・ダーおよびビンギョル産の黒曜石であることが確かめられています。 黒曜石製石器の多くは石刃で占められ、単設打面の砲弾型の石核や打面再生剥片が出土しています。定形的な二次加工石器は少なく、サイド=ブロウ・ブレイド=フレイク、CT石刃、台形石器、エンド・スクレイパーが数点見つかっています。尖頭器やチャヨニュ・トゥールはまったく出土していません。
フリント製石器のほとんどは不定形の剥片で占められます。遺跡近くを流れるワディ周辺で採取可能なフリントが用いられています。多打面の石核や原礫面を残した不定形剥片が多く、石刃石核は、非在地系のフリントで作られた1点の例外を除きまったく見られません。定形的な二次加工石器としては、剥片を素材にして作られたピック状の石器が見られるのみです。その他目立ったフリント製石器としては、150点以上のフリント製の球状石器あるいはハンマーストーンが出土しています。