研究項目A02「古代西アジア都市の景観と構造」
紀元前3千年紀から紀元後3世紀までのメソポタミアとエジプトの様々な時代に関して、都市の景観と社会的機能の変容と多様性を考古学的・文献学的データに基づき分析する。メソポタミアとエジプトにおける都市化に関連する遺跡調査(ヤシン・テぺ、ルクソールなど)を実施し、新たなデータを取得し研究を進める。
計画研究2
「古代西アジアにおける都市の景観と機能」
前3千年紀から後3世紀(パルティア時代)までのメソポタミアとその周辺地域を中心に、古代西アジア各地の都市の景観と政治的・社会的・文化的機能を、文書史料と考古学的データの双方から研究し、その変容の諸相と多様性を通時的・共時的に解明する。衛星画像分析やフィールドワークによって確認される都市とその周辺の考古地理的データを、文書史料に見られる都市の諸要素を表す用語(市壁、城門、街区、耕地、池、家畜、牧草地など)と比較し、都市景観を復元する。また、主として楔形文字文書史料の分析に基づき、王権・神殿・市民層による政治・行政と都市の社会構造、生産業(農業、畜産、手工業など)、交易・商業、不動産・食糧・銀・労働資源の貸付・売買、課税と貢納に見られる都市の産業・経済を各時代について明らかにする。さらに、メソポタミアの主要都市において収集・保存され「知の伝統」として伝承された文書(宗教書、科学文書、神話・文学作品、歴史文書、辞書など)から、学知の形成と伝承に果たした都市の役割を考察する。考古学的調査としては、メソポタミア周辺地域における青銅器時代・鉄器時代の都市遺構の調査ならびに考古学的データの収集・分析を行い、当該地における地方都市の景観を復元するともに、地方都市が中・新アッシリア時代の国家(帝国)行政に果たした役割を分析する。
メンバー
- 研究代表者
- 山田 重郎(筑波大学人文社会系・教授、楔形文字学・歴史研究)
- 研究分担者
- 唐橋 文(中央大学文学部・教授、楔形文字学・シュメル研究)
- 池田 潤(筑波大学人文社会系・教授、セム語学)
- 西山 伸一(中部大学人間力創成教育院・教授、西アジア考古学・青銅器・鉄器時代)
- 柴田 大輔(筑波大学人文社会系・教授、楔形文字学・宗教文化史)
- 春田 晴郎(東海大学文化社会学部・教授、古代イラン史)
- 研究協力者
- 前川 和也(京都大学・名誉教授、楔形文字学・シュメル研究)
- 沼本 宏俊(国士舘大学体育学部・教授、メソポタミア考古学)
- 渡辺 千香子(大阪学院大学国際学部・教授、メソポタミア美術・環境史)
- 三津間 康幸(関西学院大学文学部・准教授、セレウコス朝期の歴史)
- 下釜 和也(千葉工業大学地球学研究センター・研究員、西アジア考古学)
- 渡部 展也(中部大学人文学部・准教授、考古学・地理情報学)
- 高井 啓介(関東学院大学国際文化学部・准教授、北西セム語文献)
- 渡井 葉子(中央大学人文科学研究所・客員研究員、楔形文字学・新バビロニア時代)
- 前田 徹(早稲田大学・名誉教授、楔形文字学・前三千年紀メソポタミア史)
- 森 若葉(国士舘大学・研究員、楔形文字学・シュメル語学)
- 辻田 明子(ライデン大学・大学院生、楔形文字学・メソポタミア宗教史)
- 中田 一郎(中央大学・名誉教授、楔形文字学・前二千年紀前半メソポタミア史)
- 山田 雅道(中央大学文学部・非常勤講師、楔形文字学・前二千年紀後半メソポタミア史)
- 佐野 克司(筑波大学人文社会系・非常勤研究員、楔形文字学・アッシリア史)
- 伊藤 早苗(名古屋大学高等研究院・YLC特任助教、楔形文字学・アッシリア史)
- 辰巳 祐樹(奈良県立橿原考古学研究所調査部・主任技師、考古学・地中探査)
- ジーナ コンスタントポロス(カリフォルニア大学ロサンゼルス校・助教、楔形文字学)
- 津本 英利(古代オリエント博物館・研究部長、考古学・青銅器・鉄器時代)
- 長谷川 修一(立教大学文学部・教授、旧約学・聖書考古学)
- 菊地 咲(ヴュルツブルク大学哲学部・助手、楔形文字学・アッシリア史)
- 長田 年弘(筑波大学芸術系・教授、西洋古代美術史)
- 三浦 徹(東洋文庫研究部・研究員、お茶の水女子大学・名誉教授、イスラム史・都市研究)
- ティモシー スコット ホーグ(筑波大学人文社会系・助教、楔形文字学)
計画研究3
「古代エジプトにおける都市の景観と構造」
古代エジプト文明は「都市なき文明」と言われてきたが、近年の考古学的発掘調査の進展により古代エジプトの集落や都市の様相が明らかになりつつある。また従来のエジプト学において研究の比重が置かれてきた墓地や神殿・祭祀施設の研究も、都市との関係にもとづいたマクロな文脈で理解することが重要になってきた。さらに最近では、人口衛星画像の解析や地質調査が進展し、古代エジプトにおける都市の形態や分布がより具体的に明らかになりつつある。このような研究の進展に鑑み、本研究では、前4千年紀の先王朝時代から古代末期までの古代エジプト各地の都市の景観とその構造について、文書史料と考古資料の双方から研究し、その発生と変容について通時的・共時的に解明することを目的とする。古代の都市景観あるいは都市間のネットワークの復元については、衛星画像解析や物理探査データ、考古地理データと都市の分布や都市の諸要素を記した文書史料とを比較し、各時代の都市の景観を復元する。また古代エジプトでは、都市における神殿や王宮の役割が極めて重要であり、テーベやメンフィスといった中心的都市の神殿や王宮に関わる祝祭に基づく都市の構造や、墓地の形成と発展との関係についても、考古資料と文献史料を駆使して解明する。また都市の構造については、建築史学の視点から古代エジプトにおける都市計画の詳細な分析を行い、その成果を通時的な都市の形成と発展を含めて都市景観の復元に反映させる。さらに、ヘレニズム時代から古代末期については、ナイル川流域の都市だけでなく、ギリシア・ローマ世界との接点である地中海との関係を含めて、新段階のエジプトの都市の変容についても明らかにする。
メンバー
- 研究代表者
- 近藤 二郎(早稲田大学文学学術院・名誉教授、エジプト学・エジプト考古学)
- 研究分担者
- 河合 望(金沢大学新学術創成研究機構・教授、エジプト学・エジプト考古学)
- 馬場 匡浩(東日本国際大学エジプト考古学研究所・客員准教授、エジプト考古学・先王朝時代)
- 高宮 いづみ(近畿大学文芸学部・教授、エジプト考古学・先王朝時代)
- 中野 智章(中部大学国際関係学部・教授、エジプト学・エジプト考古学)
- 内田 杉彦(金沢大学古代文明・文化資源学研究所・客員研究員、エジプト学・文献研究)
- 田澤 恵子(古代オリエント博物館・研究部長、エジプト学・宗教文化史)
- 長谷川 奏(早稲田大学総合研究機構・客員教授、エジプト考古学・ヘレニズム〜古代末期)
- 周藤 芳幸(名古屋大学人文学研究科・教授、古代ギリシア史・考古学)
- 西本 真一(日本工業大学建築学部・教授、古代エジプト建築史)
- 柏木 裕之(東日本国際大学エジプト考古学研究所・客員教授、古代エジプト建築史)
- 辻村 純代(古代学協会・研究員、プトレマイオス朝の都市研究)
- 矢澤 健(東日本国際大学エジプト考古学研究所・客員教授、エジプト考古学)
- 山崎 世理愛(早稲田大学文学学術院・講師、エジプト考古学・エジプト考古学)
- 研究協力者
- 惠多谷 雅弘(東海大学情報技術センター・主任研究員、人工衛星画像解析)
- 高橋 寿光(金沢大学新学術創成研究機構・研究協力員、土器研究・王朝時代都市研究)
- 藤井 信之(関西大学・非常勤研究員、前1千年紀のエジプト都市研究)
- 和田 浩一郎(國學院大学・兼任講師、プトレマイオス朝の都市研究)
計画研究リンク